つくり手
消費者との繋がりを大切に自然栽培歴15年以上
松本一宏さんは、福岡県朝倉市で代々続く農家の出身で、2007年から自然栽培に取り組む稲作農家です。
自然栽培を始めた当初、消費者の方から感謝の気持ちを伝えていただく機会があり、大切な誇りある仕事だと思えるようになったという松本さん。近年、大雨など自然環境の変化に悩まされることが多いそうですが、状況に柔軟に対応し、それを見て興味を持った人が少しずつでも自然栽培を始めてくれるような自然な形の普及ができればいい、と前向きに田んぼに向かいます。
消費者との繋がりを大切にし、援農体験や懇談会を積極的に主催。また、自然栽培は「人づくり」が根本であると考え、自身の生活全般においても自然との調和を重視しています。
地域とともに、無農薬・無肥料の農業が当たり前の社会を目指して活動を続けています。
こだわり1
生命力に満ちた品種「イセヒカリ」
あまり一般的には名前を聞くことがない「イセヒカリ」。1989年に伊勢神宮の境内で台風により倒れた「コシヒカリ」の稲の中から、唯一倒れずに生き残った稲から育てられた品種です。
そのため、生命力が強いとされ、それ以来、伊勢神宮では新嘗祭でこのお米を捧げるようになったそうです。天皇家にも献上されたことがあることで知られています。
生産者の松本さんがイセヒカリに出会ったのは、伊勢神宮の宮司さんからもらったタネからイセヒカリを栽培されていた先輩の自然栽培生産者からおすすめされ、分けてもらったことがきっかけでした。
それからイセヒカリと向き合い10年以上。自然栽培で自家採種を続けることにより、コシヒカリ独特のもっちり感はありつつも、コシヒカリよりはあっさりとして甘みも穏やかになり、豊かな風味になってきたそうです。
こだわり2
主食としておすすめする自然栽培米
自然栽培のお米は、栽培期間中はもちろんのこと、育苗に使用する土にも一切の肥料や農薬を使いません。そのため、稲は自然本来のリズムで育ちます。他の栽培方法に比べて生長するスピードはゆっくりですが、根を長く伸ばし、自力で生きる糧を獲得します。
身体にすんなり馴染むような、クリアな味わいが特徴です。特に、肥料を使用していないので、炊き上がりの香りもお米本来の良い香りがします。
自然栽培では、土から肥料や農薬が抜け、土が本来持っている力が引き出されるまでに年月を要します。さらに自然栽培の稲作は栽培における課題がまだまだ多く、生産者はそれぞれの地域や土地で試行錯誤しながら取り組んでいる状況で、そのような中でも長年継続している生産者はとても少なく、大変希少です。
一方で「自然栽培」という言葉には国の認定や定義がないため、世の中で「自然栽培」「無肥料」「無農薬」と言われているものでも実態はさまざま。
そこでナチュラル・ハーモニーでは、専門スタッフが実際に全生産者の田んぼに訪れ、栽培工程・環境を詳しく確認し、農薬・肥料をまったく使用していないことを確かめたお米だけを「自然栽培」と呼び、お取り扱いしています。
また、自然栽培全国普及会の事務局として、栽培に関する情報を共有したり、生産者の経験を共有し学び合う勉強会を開催するなど、生産者とともに栽培技術の向上に励んでいます。
こだわり3
タネの農薬・肥料もなくなる自家採種
ナチュラル・ハーモニーで扱うほぼ全てのお米は、自家採種されたものです。
自家採種とは、その名の通り生産者が育てた作物からタネを採ること。世の中の多くの農業ではタネは買うことが当たり前なので、自家採種を行っている生産者は大変貴重です。
自家採種を行うことで、タネにふくまれる肥料や農薬の成分が抜けるため、稲の生育力を最大限に発揮することができます。そして、その風土に馴染んだ、力強いお米が稔ります。
自家採種をしている生産者でも、ごくたまに、自家採種を改めて始めるなどで固定種を購入する場合もありましたが、自家採種ではないお米があるときはその旨を商品情報に表示します。
こだわり4
専門スタッフによる精米と品質管理
ナチュラル・ハーモニーでは、専門スタッフによる精米を行っています。そのことにより保管から出荷まで一貫して品質管理を行うことができます。
お米の選別は、収穫した時に混じってしまった石など、お米よりも重い異物を比重によって選別する「石抜き選別」、草の種や収穫前のカメムシの食害による黒斑など、お米とは色が異なる物を選別する「色彩選別」を行なっています。農薬や除草剤を使わないため、このような粒が混じることが多くなりますが、できるだけ取り除けるように努めています。
そして精米は、お米に熱がかかって劣化しないよう注意しながら行います。精米時に割れたお米などを最新の注意で除いていきます。
精米後は速やかにパックして出荷。精米の機械や作業場の入念な清掃も日々心がけています。
種子でもあるお米は、収穫後も呼吸を続けています。保管の温度や湿度の条件により、お米の呼吸が活発になり鮮度が落ちることがあります。また保管中において、一般的に行われる殺虫・消毒といった処理を行わないため、全ての工程で温度管理を徹底しています。
自社精米を行うことで、お米の状態がよくわかり、生産者と意見交換をしながら品質向上に努めることができます。
たのしみかた
お米の風味を存分に味わう
玄米は籾殻だけを除いた精米されていないお米です。胚芽やぬか層が残っており、口に入れた瞬間にふわっと広がる味わいと香ばしさ、お米の風味をまるごとお楽しみいただけます。
ご自身でお好みの精米をして食べたいという方にもおすすめです。
白米のように研ぐ必要はありません。2~3回水を変えてごみを取り除きます。
玄米は水を含むのに時間がかかります。浸水の目安は5~6時間ですが、余裕があれば夏は8時間、冬は12時間ほどが理想です。水が温まらないように冷蔵庫などで浸してください。
浸けた水を捨てた後、玄米の容積で約1.5倍程度の水を入れ、炊飯します。炊く前に塩を少量加えると吸水率が良くなり、柔らかく炊くことができます。
保存方法
お米の保管は冷蔵庫がおすすめ
お米は長期保存できる食材ですが、早ければ早いほど美味しくお召し上がりいただけます。じつは米袋には小さな通気穴が開いており、開封しない状態でも酸化が進みます。
お届けした後は、厚手のタッパーやペットボトルなど、気密性の高い容器に移して冷蔵庫で保管いただくことが一番のおすすめです。臭いも遮断でき、乾燥によるお米の割れも防ぎます。ご家庭の冷蔵庫ではお米を置くスペースをなかなかとれないと思いますので、その場合は家の中で一番涼しい冷暗所に置き、なるべく早くお召し上がりください。
夏や湿度の高い季節はお米の劣化が特に進みやすいため、できれば2週間程度で食べきるのが理想です。
また、新しいお米に切りかえる際は、容器の中に古い米が残っていたり米糠など付着したままになっていると臭いや虫の発生の原因となりますので、お米はきちんと使い切ってから足すことがポイントです。
鮮度を大切に、開封にかかわらずなるべく早めに、自然栽培米の美味しさをお楽しみくださいね。
ご注意点(ご注文前に必ずご確認ください)
■「複数原料米」の表記について
お届けする商品の商品ラベルには「複数原料米」と記載されていますが、実際の内容はサイトに表示している単一品種のみになりますのでご安心ください。
以下、その経緯と当店の方針につきまして、ご了承の上ご注文くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)に基づき、すべての販売者はお米に関する情報を正確に表示する義務があります。お米の品種や収穫年を表示するためには「農産物検査」を受ける必要があります。
この検査は、各都道府県で指定されている「産地品種銘柄」に該当する品種にのみ適用され、それ以外の品種については、検査を受けることができません。また「産地品種銘柄」に該当するお米であっても、自家採種を続けることで、時間とともにお米の形質が変化し、検査に合格しない場合もあります。
そのため、こちらの商品の品種は、単一の品種のみ使用していることを公的に証明できないため商品ラベルでは表記していませんが、生産者が単一のタネから採取し栽培した単一品種になります。複数の種類のお米をブレンドしているわけではありませんのでご安心ください。
上記のように、現在の国・自治体の制度では自然栽培、自家採種に取り組む生産者の実態に合わない点がございますが、ナチュラル・ハーモニーでは、当店の基準に沿っての実質の内容を重視し、認定されている・されていないを問わず、生産者が自然栽培を継続する上で、田んぼに適したお米を選び、自家採種を続ける誠実な取り組みを支援しています。公的に品種表示ができないことにより、分かりにくくご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。