夏摘みのヴィンテージグレードは特別に「ヴィンテージ・マスカテル」と呼ばれます。ウンカの一種であるグリーンフライが葉をかじることによって自然発酵がおこり、マスカットの香りを醸し出すためです。
夏摘みのすべてがマスカテルなのではなく、グリーンフライが多く飛来している数週間のうちにつくられる紅茶のみに限定されます。体長5mm程度の繊細なグリーンフライが飛来するのは、マカイバリ茶園では一切農薬が使われていない証しです。
さらに、マカイバリ茶園では農薬の他には化学肥料も一切使用しておらず、堆肥や植物のエキスなど自然由来の肥料を用いたバイオダイナミック農法(※)で30年以上栽培されており、月や星の位置、季節の変化など宇宙のリズムに基づいて最適な収穫期に茶摘みをおこなっています。
2024年の春摘みファーストフラッシュの時期は旱魃と熱波に悩まされたマカイバリ茶園でしたが、夏は適度な雨量と気温に恵まれました。
昨年と同様に7月に茶摘みされたセカンドフラッシュは、マスカットを想わせるフルーティーさとはちみつを想わせるまろやかな甘味、そして樽を想わせる深みを持ち合わせるフルボディーの紅茶に仕上がりました。
雑味のない透明感の中に、ふくよかな味が広がります。時間をかけてゆっくりと抽出することで、口の中で幾重にも広がる香りをぜひお楽しみください。
※バイオダイナミック農法
有機農法の最高峰と言われており、マカイバリ茶園では世界で最初にバイオダイナミック農法による茶栽培を実施しました。
オーストリアの人智学者ルドルフ・シュタイナーの思想をもとに体系化されたもので、生物の潜在的な力を導き出し、土壌に活力を与え、作物を育てる農法とされています。
除草剤や殺虫剤、化学肥料などは一切使用せず、自然の物質から生成された調合剤を茶畑に散布したり、茶摘みなどの作業を月や天体の運行に則して行います。
バイオダイナミック農法とは、太陽・水・空気・土・動植物すべてが互いに関連・調和しあった、ホリスティックな環境の中で栽培を行う方法なのです。