こだわり1
バイオダイナミック農法とテロワール

北海道上富良野町の小高い丘に広がるぶどう畑の周囲には、クルミや白樺などの樹木や季節の草花を植え、様々な虫や動物が集う環境をつくっています。
そうした豊富な生態系と共存でき、地域の気候や環境にも合うぶどうの品種が、北海道に自生していた山葡萄にルーツを持つ山幸という品種です。
山幸は寒さや病気に強く樹への負担がかからずに栽培できるため、農薬や化学肥料はもちろんのこと、ボルドー液(※)さえ使っていません。
バイオダイナミック農法はフランス語でビオディナミといい、この農法に則って造られたワインはビオディナミ・ワインと呼ばれます。それは最も厳格な自然派ワインであり、自然と調和する理念と独自のテロワール(その土地の風土)を色濃く表現する味わいをつくります。
※ボルドー液とは、硫酸銅と生石灰の混合で、バイオダイナミック農法でも使用が認められているベト病対策の殺菌剤です。

こだわり2
人為的な酵母無添加・無ろ過・酸化防止剤不使用
すべての工程において、人為的な酵母無添加・無ろ過・酸化防止剤不使用という、正真正銘の自然派ワイン。国内でここまでこだわってつくられたワインは大変希少です。
大量生産のワインによく添加される培養された酵母は、人為的に特性を選んでつくられた酵母のため、味わいがすっきりしつつも単純になりがちと言われています。一方、ぶどうに付いている酵母だけで発酵させると、人知を超えた酵母たちの働きによって複雑な奥深い味わいが生まれます。
また、一般的に発酵を終えたワインは、ぶどうの皮や果肉、酵母などによって濁っているため、ろ過することで透明感があり見た目がきれいな、品質が安定したワインになります。ところがろ過することでワインのもともとの風味まで少なくなってしまうことも。そのため、ワイン本来の個性を損なうことなく楽しみたいという方達から無ろ過のワインは支持されています。
酸化防止剤は、酸化や腐敗を防ぐためにワインに添加されることが一般的ですが、こちらのワインは一切使っていません。

こだわり3
『水源』を意味する、山幸の瑞々しさを存分に感じられるペティアン
ペテトはアイヌ語で『水源』を意味します。3年前に定植した本別町カッコミ農場で2024年に初収穫したぶどうだけで仕込みました。若い樹のため小粒で酸の強いぶどうが採れ、生き生きとした酸とフレッシュでスッキリした果汁の特徴が上手く生かせたペティアンに仕上がりました。
抜栓すると多少の澱が舞い少し濁ったピンク色の外観になります。クランベリーを思わせる甘酸っぱさと、レモンやハーブの爽やかな香りでドライな飲み口。優しい泡と酸味・苦みのバランスが良くすっきりした余韻です。
抜栓時は吹きこぼれる恐れがありますので、冷蔵庫で2〜3日よく冷やしてから、こぼれても良いようにボウルなどの受け皿の中で静かにゆっくり抜栓してください。
また、ペティアン(※)は手法上、発酵後濾過する工程をとっていないため、瓶内に澱が溜まっています。そのままでももちろんお楽しみいただけますが、デキャンタージュして澱を取り除いてからお飲みになることをお勧めします。デキャンタージュ後は少し温度を上げると苦味や収斂性が抑えられ、よりフレッシュなフルーツ感を味わえます。
※「ペティアン」とは、フランス語で「わずかに泡立つ」「パチパチ弾ける」などの意味で、微発泡のスパークリングワインのこと。スパークリングワインの中でも一番ガス圧が弱いタイプです。
つくり手
自然と調和し、精神の伴うワイン造りをめざす

■ワイン醸造所:カムイ・メトッ・ヌプリ
上富良野町にあるトカプチの自社醸造所「カムイ・メトッ・ヌプリ」はアイヌ語で十勝岳連峰の「神霊ある山の尾根」という意味です。大雪山系と夕張山地に三方を囲まれた富良野盆地の東側、南西斜面の小高い丘のぶどう畑の中心にあります。
2023年の開設にあたり、岩見沢市の10Rワイナリーにて委託醸造と研修では、亜硫酸塩不使用、野性酵母での発酵、補糖や補酸行わず、清澄剤(せいちょうざい)不使用でろ過も行わない、厳格なヴァンナチュール(自然派ワイン)造りを学びました。
カムイ・メトッ・ヌプリでは発貯蔵の容器なども自然な素材のものを用い、山幸の特徴を引き出す技法を模索し、この土地ならではのテロワールを表現するワイン造りに向き合っています。

■販売:BMO株式会社
BMOは1997年に設立されたワイン輸入会社。20年以上にわたり、広く知られていない「本物のワイン」を国内外で発掘し続けてきました。
ワイン発掘の際に重視しているのは、ぶどう畑と醸造の「自然度」。ワインは「大きな自然のエネルギー」と「人間の素晴らしい知恵と行動」により生まれる産物ですが、その知恵と行動により、限りなくぶどうの持つエネルギーをゆがめないワインを探し求めています。
そして、つくり手ならではの個性が際立っていることもとても大切にしています。これまで数多くのワインのつくり手と付き合いを重ねる中で、驚くべき努力の成果と技量に触れ、その結果、素晴らしいワインとそうではないワインとの間にはケタ違いの差がある、という結論にたどり着きました。
カムイ・メトッ・ヌプリでのぶどう収穫や醸造にも積極的に関わるなど、BMOが選ぶワインは、どれも自然で、つくり手の個性が際立っているものばかりです。