こだわり1
天然麹菌で仕込んだ醤油
日本酒・焼酎・お酢・味噌・醤油・味醂などは日本の食文化を代表するものですが、すべて麹菌を利用した発酵食品です。 その麹菌は日本の「国菌」と言われるほど、日本独自の発酵醸造菌です。
そもそも麹菌というのは本来空気中に浮遊しているものですが、現在の純粋培養技術が確立するまでは、空気中から穀物などに付着させて採取していました。
江戸時代前半には「麹屋」といって、麹菌を採取して増やす専門の職業があり、いかに良好な発酵を促す麹菌を採るのかが腕の見せどころだったようです。全国各地にはそんな麹屋が存在し、その土地ごとの麹菌とそれを利用した発酵醸造食品がつくられていました。
しかし、明治以降になって、戦争などの情勢悪化により良質な原材料が手に入れづらくなったことで、どんな原材料でも醸造できるようにより丈夫な菌を求める声が増え、それに合わせて純粋培養菌の開発が盛んになりました。そうして全国的に安定した発酵食品の製造が可能となったかわりに味や風味が画一化していきました。
時代の流れとともに効率を重視した大量生産が盛んになっていきますが、そんな中でも頑なに昔ながらのつくり方を守り続けてきた蔵元もあります。
今回、天然菌で醤油を仕込んでくださった森田醤油も、まさにそんな蔵元の一つです。森田醤油では、醤油以外にもぽん酢などの製造に力を入れていたのですが、10代目の森田郁史さんはそのぽん酢の原料であるカツオエキスやコンブエキスが化学的に抽出して添加物によってできていることを知り、その現実にショックを受けました。そして「子供に安心して食べさせられる安全な食品をつくりたい!」と思い立ちます。そこから地元産の安全な原料にこだわり添加物などを使用しない製造を続けてきました。
森田醤油と私たちの出会いは、美味しい醤油とぽん酢を作っているこだわりの蔵元があるといううわさからでした。機会があり森田さんにお会いすることができた際に、率直に天然麹菌で醤油とぽん酢を仕込んでいただけないかと伺ってみたところ、快諾いただけたのです。
通常使われる純粋培養された麹菌ではなく、蔵で採取した麹菌を使った醤油づくりは事例も少なく、成功する保証が全くない中では、危険と考えるのが普通です。万が一麹菌以外の菌が混ざってしまい、うまく発酵しなかった場合、他の桶にまで広がって処分せざるを得ない事態にもなりかねません。
しかし森田さんは天然麹菌を使った醤油づくりの提案にうなずいてくれました。それには、より安全でおいしい商品を後世に残したいという意思と、今まで積み上げてきた技術への自信と確信があったからなのでしょう。
そして私たちが製造をお願いしてから約3年後、ナチュラル・ハーモニーのオリジナル味噌をつくっていただいている蔵元「マルカワみそ」で採取された麹菌を使用し、木桶でおよそ2年熟成させた濃口醤油ができあがりました。
長年にわたり雪深い奥出雲の地ではぐくまれてきた環境と技術が、天然菌や自然栽培の素材と見事に融合した醤油になりました。この醤油が、その土地でしか醸し出せない発酵食品が再び全国各地に広がっていくきっかけになることを願っています。
天然菌について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
こだわり2
自然栽培原料
醤油の原料には大豆から油を抽出した後「脱脂加工大豆」が使われることもありますが、木桶熟成醤油は自然栽培の大豆のみを使用しています。
丸大豆の甘味と上品でまろやかな風味が味わえます。
小麦も自然栽培100%使用。
塩は、ヒマラヤ山系の伏流水が大平原の岩塩の地層に湧き出し、塩の湖を一億年以上という時間をかけて生成した塩湖の水を天日で干して作った塩です。
極めて汚染の少ない環境が保たれた場所で採取された世界的にも希少な完全天日結晶塩です。
つくり手
奥出雲の清らかな水で醸す、老舗の醤油蔵
1903年創業の森田醤油。山間にあるため、清らかな空気・水に恵まれ、昼夜の寒暖差が大きく醤油づくりに適した地域にある森田醤油は、地元に根ざして昔ながらの木桶による醤油をつくり続けてきました。
「自分のこどもに安心して食べ続けさせたい」と思える商品を徹底してつくる、こだわりの蔵元です。
特にぽん酢などの製造では、すべての原材料を自ら吟味して仕入れ、自社で出汁を煮出して取っています。今ではすべての商品が国産原料かつ無添加でつくられています。
誰もが安心して口にすることができる、そんなごく当たり前を、まじめに、丁寧にしているのが森田醤油の醤油づくりです。
たのしみかた1
大豆の旨みと甘みを感じるまろやかな味わい
甘く香ばしい香りが印象的。大豆の旨みがしっかり感じられてコクがありながらまろやかな味わいがあり、それでいてすっきりした後味をお楽しみいただけます。食材に旨みと甘みを加えてくれる醤油です。
お刺身につけて食べると、魚の甘みを感じながらまろやかになじみます。卵かけごはんにもぴったり。米全体を包み込むような優しい味わいが魅力です。
また、オイルとも相性が良く、お互いの香りを邪魔しないので、ドレッシングや炒めものにもおすすめです。オイルとあわせることで、こっくりとした余韻が楽しめます。
たのしみかた2
2つの醤油蔵の違いを楽しむ
ナチュラル・ハーモニーでは、2つの蔵で醤油を仕込んでいただいています。
どちらも自然栽培の大豆・小麦・塩と、ほぼ同じ原材料を使用していますが、産地やつくり手が違えば味わいも異なります。
「木桶熟成醤油 栄醤油」はキレがのある濃厚な味わいと爽やかな酸味があり、醤油の旨みと塩味が際立ちます。甘みが強くないので、毎日使っても飽きがこない味です。
「木桶熟成醤油 森田醤油」は大豆の甘みとコク、まろやかな味わいが特長です。ふんわりと醤油の香ばしさをまとわせたいときにおすすめです。
それぞれの個性はもちろんですが、使い方で味わいががらりと変わります。刺身や豆腐などにそのままかけて食べるとき、ドレッシングやぽん酢など他の調味料と合わせて使うとき、煮ものや炒めものなど調理して使うときなど、食材や調理法に合わせてそれぞれの特長を活かして使い分けをするのも楽しみのひとつです。
保存方法
長期の保管は冷蔵庫の野菜室で
醤油は開栓後は空気に触れることで酸化が進み、風味が変化します。醤油をおいしく保つコツは、酸化の進行を抑えるために光・熱・空気を避けること。
開封後すぐに使い切らない場合は、冷蔵庫の野菜室で保管するのがおすすめです。
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