こだわり1
自家採取の天然麹菌発酵による醤油づくり
天然の蔵付き菌で醸した醤油にチャレンジしてくださる蔵元を探すことはとても難しいことでした。
天然麹菌をはじめ、大豆・小麦・塩に至るまですべての原料を持ち込んで醸造するということは未知の試みでリスクも大きく、もし失敗したらまるごと桶をだめにするどころか、他の桶の製品にも影響が出てしまう可能性があります。
古くから木桶と無添加の本醸造にこだわり続ける数少ない蔵元である、栄醤油醸造に話を提案させていただいたときにも、最初は当然のことながら断られました。
しかし話し合いの末、栄醤油代表の深谷益弘さんより「やってみましょう」と言っていただけたのです。
勇気ある決断をいただき、天然麹菌の醤油づくりへの希望が見えたと同時にここからが本当のスタートでした。
最初の仕込みは、初めての連続。
麹と塩水を入れ混ぜた「もろみ」を発酵・熟成させ、搾り出たものが「醤油」となりますが、天然麹菌が発酵してゆくプロセスは、 純粋培養菌に比べてゆっくりで、最初はもろみになかなか変化が起こりませんでした。
通常発酵が盛んになると、木桶全体でもろみが膨れ上がり、プツプツと二酸化炭素を放出しますが、それが一向に始まらなかったのです。
櫂入れという、もろみを混ぜる工程などを試行錯誤した結果、ようやく発酵が始まってくれました。
そして、発酵は順調に続き、約1年半の歳月を経て無事に醤油ができあがりました。
その後、2011年からは栄醤油の蔵で麹菌の自家採種も始め、技術的な情報がない中で昔の文献を参考にしたり、過去の仕込みデータと照らし合わせたりして、安定的な自家採取の方法を探り編み出しました。
酵素や添加物を使わず長い歴史の間に蔵に棲みついた菌の助けを借りながらじっくりと時間をかけて熟成させることで、蔵特有の味わいと風味が生み出されます。
天然菌について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
こだわり2
自然栽培原料
醤油の原料には大豆から油を抽出した後「脱脂加工大豆」が使われることもありますが、木桶熟成醤油は自然栽培の大豆のみを使用しています。
丸大豆の甘味と上品でまろやかな風味が味わえます。
小麦ももちろん自然栽培100%使用。
塩は、ヒマラヤ山系の伏流水が大平原の岩塩の地層に湧き出し、塩の湖を一億年以上という時間をかけて生成した塩湖の水を天日で干して作った塩です。
極めて汚染の少ない環境が保たれた場所で採取された世界的にも希少な完全天日結晶塩です。
つくり手
江戸時代から続く醤油蔵
静岡県掛川市の横須賀にある1795年(寛政7年)創業の栄醤油醸造。
横須賀は徳川家康由来の城があったことから城下町として栄えた町で、創業当時は刀鍛冶と並行して醤油づくりを行なっていたそうです。
純粋培養された麹菌を使い醸造することが主流の中、麹菌の自家採取に2011年から独自に取り組み、より美味しい醤油づくりを追及し続けている蔵元です。
先祖代々伝わる木桶を使った醸造にこだわり、添加物に頼らない昔ながらの製法を守り続けています。
たのしみかた1
豊かな香りと旨み
瓶を開けた途端、まるで蔵の中にいるような豊かな香りがふわっと漂います。
塩気をきりっと感じつつ、丸みもあって、後から甘みがじんわり口の中に広がる深い味わいです。濃厚さがありながら後味は爽やか、しっかりとした醤油の旨み・塩気が欲しいときにおすすめです。
お刺身との相性は抜群。漬けにしても最高です。食材の甘みを引き立てるので、煮物もおいしくできあがります。焼きおにぎりや焼き餅にかければ、醤油の香ばしさが際立ち、お米や餅の甘みをより一層感じられます。
キレのある味わいの中に複雑な旨みがあり、どんな料理でも格別な味に仕上げてくれる魔法のような醤油です。
たのしみかた2
2つの醤油蔵の違いを楽しむ
ナチュラル・ハーモニーでは、2つの蔵で醤油を仕込んでいただいています。
どちらも自然栽培の大豆・小麦・塩と、ほぼ同じ原材料を使用していますが、産地やつくり手が違えば味わいも異なります。
「木桶熟成醤油 栄醤油」はキレのある濃厚な味わいと爽やかな酸味があり、醤油の旨みと塩味が際立ちます。甘みが強くないので、毎日使っても飽きがこない味です。
「木桶熟成醤油 森田醤油」は大豆の甘みとコク、まろやかな味わいが特長です。ふんわりと醤油の香ばしさをまとわせたいときにおすすめです。
それぞれの個性はもちろんですが、使い方で味わいががらりと変わります。刺身や豆腐などにそのままかけて食べるとき、ドレッシングやぽん酢など他の調味料と合わせて使うとき、煮ものや炒めものなど調理して使うときなど、食材や調理法に合わせてそれぞれの特長を活かして使い分けをするのも楽しみのひとつです。
保存方法
長期の保管は冷蔵庫の野菜室で
醤油は開栓後は空気に触れることで酸化が進み、風味が変化します。醤油をおいしく保つコツは、酸化の進行を抑えるために光・熱・空気を避けること。
開封後すぐに使い切らない場合は、冷蔵庫の野菜室で保管するのがおすすめです。
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